ココロのハズレ。(5)断言する坊さん。

お守りはいらないと思うのでありますが、果たして「坊さん」はいるのだろうか。

勿論、坊さんといっても色んな宗派があるので、一口に坊さんと言ってしまっては、いささか乱暴な気もします。

確かに、葬式や法事の時にお坊さんがいないと、どうにも締まりのない展開となってしまうだろう。
でも、お経を唱えて頂いて、何となく納得してしまっているのでありますが、果たしてお経を唱えなかったらどうなるんだろうと思ってしまう。

ご先祖がそれで成仏出来ないとか、あの世でいじめにあうとかあるんなら、是非ともお坊さんに頼みたい。

でも、その確信は凡にはない。

凡の家は、浄土真宗。

浄土真宗は、阿弥陀如来様に救っていただこうと信心をおこした瞬間、来世で救われることが出来ると説く宗派だ。
そもそも、親鸞聖人でさえ、亡くなった父母の為に念仏を唱えたことがないという。

そんな宗派であるなら、法事も必要がないだろうし、追善の為のお経も必要がない。
これはある意味潔い。

日本には仏教と言っても色んな教えがある。

凡の家の浄土真宗はそういう教えだけれど、他の宗派では現世利益を説く宗派もある。

凡も学生の頃は空海に惹かれて、真言や瞑想などに興味を持ったことがありました。
その流れでヨガや占星術などの本を買ってきたりもしたものです。

現世で生きながら救われると説く教えがすんなりと凡の気持ちにマッチしたのです。
浄土真宗の来世で救われる教えなんて、何の意味があるのだと思っていたのです。

中年になった今では親鸞聖人の教えにすごく安らぎを感じるのですが、若いときはそうではなかった。

とはいうものの、実際に現世利益を謳っている宗派でも病気に苦しんでいる人もいらっしゃるし、生活に苦しんでいらっしゃる人もいる。
そう上手くは救われないものではないなという気がするのであります。

なので、本当にお坊さんがこの世に必要な存在なのかということに対する確たる答えは見つけることができないまま今に至っているのです。

でも、ある時に「坊さんの存在理由というのはこういうことなのかな。」と思った出来事がありました。

それは、もう10年ほど前のことです。
凡とミニボンで、奈良にあるボケ封じのお寺に行きました。

そのお寺は奈良ではちゃんとした有名なお寺さんです。
そして希望者にはボケ防止の祈祷もしてくれます。

凡とミニボンはお参りを済ませた後、本堂の横で座って休憩をしていました。
お寺の本堂とういうのは、何故か夏でもひんやりと涼しい。

すると、ついたてで仕切った向こうから中年の女性の声が聞こえてきます。
ボケ封じではなく、別の相談をしているようです。

何でもご主人が胃の具合が悪く医者に行くと検査入院することになったらいしのです。

「主人の病気、、、。ガンじゃないでしょうか。不安で。」

少し震えたその声からも心配で堪らない様子を察することができます。

すると、「そうか。うん。フム。エイ。フム。」

何やらお坊さんの低く抑えたような、それでいて力強い息遣いが聞こえてきました。

どうも祈祷のようなことをしているようです。

短いその祈祷が終わるとお坊さんが言いました。

「よし。心配しなくていい。ご主人はガンではない。」

何の躊躇もなく、確信に満ちた声で断言したのです。

凡とミニボンはその瞬間顔を見合わせました。

「そんなええ加減な。」

ご主人を1度も見たこともない坊さんが、しかも医者でもない坊さんが、何でそんなことを断言できるのか。
いい加減過ぎるではないですか。

でも、次に女性がこう言ったのです。

「ありがとうございます。ガンでなくて良かった。ホッとしました。」

その声からも急に女性の肩に乗っかかっていた何かが少し軽くなったのを感じたのです。

その時に、「ああ坊さんの存在する意味はここにあったのかな」と納得したのであります。

ガンであっても、そうでなくても、この場合はそんなことは関係ないのです。
ガンであるかどうかなんて誰にも分かりません。

誰にも分からないことを悩んでも仕方がありません。

この中年の女性に必要だったのは、お坊さんのこの力強い断言だったのでしょう。
少なくとも検査の結果が判る日までは、少しは悩みを軽くして過ごせるだろう。

こんな断言は医者にも出来ないし、周りの人も出来ない。

この時だけは、やっぱり坊さんは必要だと断言できたのであります。

ご めんなさい。
(ぺこり)

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この記事へのコメント

2010年07月08日 12:30
最後のお話し、私の中でしっくりきました。
この女性「違うと誰か言って!」そんな気持ちで訪れたのでしょう。でも誰だって無責任に「ガンじゃない」って言えないもの。それを言い切ったお坊さんは自分のお役目を果たされたように思いました。
究極の優しさですネ
凡蔵。
2010年07月10日 00:40
ありがとう、oriverさん。
そうなんですよね。聞いた時はびっくりしましたけど、この答えしかないのかもしれないですよね。
少しでも前向きになった方が、上手くいくかもしれないですよね。
お医者さんもこんな風に断言して欲しいときがあります。
「絶対治る!」って。
その一言ですごく元気がでるのになと思う。

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