散散歩歩。(76)龍谷ミュージアムの捨身飼虎の絵。

「解らない。」
龍谷ミュージアムの一枚の絵を前にして、凡は首を横に振った。

その絵は、一つの物語を描いてあるのですが、どうも凡には理解が出来ない物語なのであります。

それはお釈迦様の前世の薩埵王子という人が、7匹の子供を産んだのだけれど、やせ細っているので乳をやることが出来ずにいる飢えた虎の為に、自分の身を投げて虎に食べさせるというものであります。

これはジャータカというお釈迦様の前世の物語を集めたお経の「捨身飼虎」という有名なお話です。

菩提心を起こして、自分の身を捨ててでも他を利することの大切さを説いているのだそうです。
なので、この薩埵王子の行為は功徳を積む善行ということになります。

そこで、凡は首を横に傾げることになってしまうのであります。

凡の思考は単純です。
素直なのであります。

なので、この行為がどうしても善行とは思えないのです。

虎と言う生き物は、凡にとっては怖い存在です。
普段は山に住んでいるのだろうけれど、時には里に下りてきて、人間を襲って食べたりすることもあるでしょう。

薩埵王子は、この時、虎を救ったのですが、それは一時的なものです。

また、お腹を空かして今度は里に下りてきて、人間の子供を襲って食べてしまったら、どうするのでしょう。

仏教で因縁果報という言葉がありますが、この場合、子供を虎が食べるという因を薩埵王子が作ったことにはならないのだろうか。

つまり、薩埵王子がした行為は善行ではないのではないかと思ってしまうのであります。

「薩埵王子様が虎を救えへんかったら、うちの子、虎に食べられへんかったのに。」
そう言って、子供の両親は嘆き悲しむに違いありません。

虎の方にしたって、「そんなん、勝手に薩埵王子さんが食べられに来はったんやん。うちらそんな食べたなかったのに。」なんて思っているかもしれません。

善行と悪行って考えれば考えるほど解らなくなります。

ある人にとって良いことも、ある人にとっては害のある酷い行為だということは、普通に生活をするなかで起こってきますし、また、それが複雑に絡み合っているので、何が善行で、何が悪行なのか、すぐに判断できないことも多いのではないでしょうか。

善と悪とは、コインの裏表のような正反対の性質なものであると同時に、1本のロープのように連続している性質も持っているのではないだろうか。

なので、どこからどこまでが善で、どこからが悪だなんていうことも決められない。

そう考えると、善と悪というのは、非常に厄介な価値の判断基準だなと思う。

そんなことを、1枚の絵の前で考えていると、「ぐー。」お腹がなった。

お昼を食べていないので、こんな捻くれた考えをしてしまうのだろうか。

ミュージアムを出たら、何か食べよう。
ハンバーガーもいいな。

とはいうものの、肉を食べる凡は、悪行をしていることになるのだろうか。

なんて考えてしまうのも、これまたお腹が空いているからだろうか。
「ぐー。」
画像
龍谷ミュージアム
ご めんなさい。
(ぺこり)

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この記事へのコメント

2011年07月08日 07:06
肉を食うのは悪行ではあ~りませんよ!
人が生きていくためには他の生き物の命を頂戴する・・・
ですから食べ物を粗末にしてはいけないと思うんですよね~

※自分は釣った魚は無駄にせず、全て食べるように心掛けています!
最近釣りはご無沙汰なんですけどね・・・

善と悪は表裏一体・・・
一本のロープのようにっての、なんとなく分かる気がします
凡蔵。
2011年07月10日 01:01
ありがとう、とっちゃん。
人間、肉を食わなきゃ生きていけないという訳ではないので、やっぱり肉を食うことに、抵抗があるのであります。
子牛の可愛い目を見ながら、焼肉を食べるのは、何とも箸が進みにくいものであります。
とはいうものの、いつも紙切れのように薄くなった肉を鉄板の上で焼いては、旨いと言いながら食べているのでありますから、私もいい加減なものであります。
今回、行った龍谷ミュージアムで取り上げられている親鸞さんは、肉食妻帯をされていました。
自分が悪人であることを認めることからスタートしています。
そんな姿をみると、自分自身も救われる気がします。
自分も同じ悪人でありますが、生きていくには、それは仕方がないことでもあるのでありまして、それを認めたうえで、生きていくことが大切なような気がします。

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