散散歩歩。(466)アイラブユー・ほたえてくれ!みゆきさーん。(153)

入場が始まった。

凡はまず、あれは地下なのか1階なのか不明だけれど、階段を下りて行ってACTカフェに向かう。

他の観客は、グッズを買ったりしていて、カフェにはほとんど人はいない。
これは、凡にとってはどうでもいい事なのですが、吉例に従いまして夜会カクテル「ペルシャ」を注文。

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普通であれば、夜会のステージを前にして、思いをみゆきさんの公演までの苦労などに馳せながら、ゆっくりと時間をかけて頂くのが大人の流儀というものだろう。

とはいうものの、凡はこういう場合には、妙に気が焦る。
席はもう決まっているのだから、焦る必要もないけれど、何か焦ってしまう。

なので、カクテルといってもペルシャはノンアルコールだけれど、一気にストローで飲み干した。

「ズズッ、ズズッ、ズズズー、ズズズー。」

最後まで飲もうという悲しい音がカフェにこだまする。

このズズッを何回かやってから返却口にグラスを持って行ったら、すでに1個のグラスが返されていた。

さすが、みゆきさんだ。
みゆきさんには、気の焦るこの凡より更に、普通の人の気持ちすら焦らせてしまう、魅力があるんだ。
すごいね、みゆきさんって。

とりあえずは、席を確認に行こう。

そう思って中に入ると、まず今までと違うものが目に入った。

カメラだ。

たぶん、他にも何台も見えないところに設置されているんだろうけれど、凡が見たか範囲では、1階は客席の両サイドの壁の所に2台ずつ、後ろのコントロール席の近くに2台と小さなカメラ1台。

ステージの両サイドのスピーカーとかが付けられている鉄筋に1台ずつ、これは無人でコントロールするようで、ステージ下の演奏する人を狙うようである。

そして、真正面の1番前の席のところに1台。
さらに、2階にも2台。

何となく嬉しくなる。

何となくと言うのは、ひょっとしたら起こるかもしれないという期待の事だ。
つまりは、今日の舞台はDVDになる可能性がある。

たぶん、何日間か撮って、その内の内容の良かった日のをDVDにするのだろうけれど、ひょっとしたら凡の見る今日のステージがDVDになるかもしれないのだ。
そうなったら、DVD見るたびに感動が蘇ってくるものね、「これが凡の見たステージそのものだ。」ってね。

そんな期待をもちながら、席を確認しに行く。
M列の38番。

ステージに向かって右側のゾーンで、真ん中より少し前の方の席だ。

これだって、今までの事を考えたら、かなりいい席だ。
でも、11月に座ったH席まで行ったら、やっぱりすごく近かったんだと、あらためて感じた。

そして、ステージが始まる。

やっぱり、みゆきさんは、どうしようもなく素敵だった。

しかし、それにしてもである。

人は、ある人を好きになってしまったら、どうしようもなく好きになってしまったら、その好きな人を認識する能力を、あえて低下させてしまうシステムを脳は持っているのだろうか。

そして、それは凡だけの事なのだろうか。
それなら、悲しくなるよ。

凡は、夜会を見るのは、その舞台を見たいと言うのもあるのだけれど、やっぱり、みゆきさんに会えるというのが1番の理由だ。
なので、みゆきさんを見たいのである。

でも、いざステージが始まると、何故かみゆきさんが見えない。

この見えないというニュアンスを伝えるのが難しいのですが、勿論みゆきさんは見えている。

目に力をいれたり、双眼鏡を使ったりと、ずっとステージのみゆきさんを目は追っている。
でも、何故かぼんやりとしか見えない。

見よう見ようと思う気持ちとは反対に、見えてはいるけれども、ベールが掛かっているんだ。

今日は、凡は朝からグロッキーだ。
なので、更に症状は悪くなって、他の出演者が歌ったり演じているときは、はっきりしているのに、みゆきさんが歌う時になったら、トロリと眠気が襲ってきたりする。

どうなっているのよ、凡の脳細胞は。
頑張ってくれー!

そしてステージが終わってもね、思い出したいじゃない。
ステージのみゆきさんの表情とかさ。
でも、ぼんやりとしか思い出せない。

それとは反対に、ただのんびり気を抜いて見ていた中村中さんや、他の演技者の表情なんて、はっきりと思い出せたりする。

凡の脳、意味不明。

他の人は、そんなことはないのだろうか。

とはいうものの、凡は間違いなく夜会のみゆきさんに会ったのであります。
この会ったというのは、普通の人の言う見たという意味なのですが。

そんでもって、この8日の夜会は、凡が11月に見た2回の公演と比べて、みゆきさんも他の演技者も、力が入っていたと思う。

最後の、みゆきさんの挨拶も、今までよりも長かったのは間違いがない。

さて、ステージも終わったので、今日も出待ちをすることにしよう。

前回に出待ちをした時に、みゆきさんが顔を隠していたように見えたので、これはみゆきさんにとっては、してほしくない行為なのだろうかと考えたのだけれど、今日はたぶんいつものスモークの窓のタクシーだろから、嫌だったら窓開けないだろうし、とりあえずはいいのじゃないだろうかという、恋に狂った男の発想で出待ちをすることに決定。

出待ち場所で待っていたのは10人ちょっとだっただろうか。
みゆきさんが出てきたのは、前回よりも遅い11時20分ごろ。

凡にはここで作戦があった。

いつもは従業員出口の見えるところで待っている。
みんな、出てくるみゆきさんが見たいものね。
そして、みゆきさんが乗ったタクシーは、その前を通って右折して去っていく。
曲がるまではタクシーの正面しか見えないから、あまりいい角度とはいえない。

そこで、凡はみゆきさんがタクシーに乗り込むのを見たら、すぐに道路の右折して直進する場所まで移動するというものだ。

さて、結果は。

みゆきさんはスモークの窓を、ほぼ全開にして答えてくれた。
タクシーの後部座席に座るみゆきさん。

白い。
そして、小さい。

みんなが、お疲れ様なんて声を掛けたのに答えてくれてたのだろうか、凡の前を通る時のみゆきさんの口が、何を言っているのか解らないけれども、挨拶をしてくれているように動いたのです。

感激だ。
そして、もうメロメロだ。

化粧を落として、ステージを下りた、今目の前にいるみゆきさんは、抱きしめてあげたくなるぐらい、小さくて優しい。

そうである。

抱きしめたいと言ったら、今回の夜会で気に入らない場面が、前半に1カ所、後半に1カ所ある。

舞台の役で言うとガードマンと村男をやっていた石田匠さんという方が、後ろからみゆきさんを抱きしめるというシーンがあるんです。

あれは、ずっこいよ。
いくらストーリーだって言ってもさ。
そんなん、羨ましすぎるやん。

みゆきさんって、後ろから抱きしめると、どんな感じなのだろう。

みゆきさんの骨の感触。
みゆきさんの筋肉の感触。
みゆきさんの脂肪の感触。
そして、みゆきさんの皮膚から発する香り。

1度でいいから抱きしめたい。

、、、などと、凡が書くと何故かイヤラシクなってしまう。

違う、違う、凡は、そんなにイヤラシクない。

「?」

いや、イヤラシイか。
それは、置いておいて。

出待ちでみゆきさんを見ることが出来た感動を胸にホテルのある大井町まで帰る。

り道に、みゆきさんの出待ちの時の顔を思い出そうとするのだけれど、何故かぼんやりとして思い出せなかった。

「脳のアホ!」

大井町に帰って来て、日高屋で晩御飯を食べる。
明日は早いので、そこそこにしてホテルに戻った。
でも、24時間やっているのは、助かる。

9日の朝、5時30分の羽田行のバスに乗り込み、飛行機で伊丹まで戻って、そのまま出勤。

普段の1日の始まりであります。
それにしても、グロッキーだ。

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