そうだ、ソウルへ行こう!(137)

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フラフラになりながらも明洞にたどり着いた。

もう歩けないので、明洞ミリオレの入り口横のステージの椅子に腰掛けてミニボンを待った。
吐き気が辛いので海老のように背中を丸めて椅子に座っていることしか出来ない。

目の前を沢山の若い人が行きかい、テレビで見ていた流行の歌がそこここのお店から聞こえてくる。
本当なら楽しいはずの明洞が、今は苦しみに耐えるのみである。

やがて到着したミニボンは午前中に1人で行ったソウルタワーや明洞のお店の話をしてくれる。
何か楽しかったようで、それは良かった。

でも、凡は海老のように地面を向いたままだ。

そんな凡を見てミニボンは言った。
「二日酔いのドリンクとかの薬を探して来よか。」

そうだ、日本から持ってきた胃腸薬は効かなかったが、ここはソウル。
チャミスルの飲みすぎでなった二日酔いならソウルの胃腸薬の方が効くだろう。

「お願い。」ミニボンに頼んだ。

しばらくして、帰って来たミニボンはドリンク剤と飲み薬を買ってきた。

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飲み薬は錠剤で胃のイラストが書いてある。ドリンク剤はオロナミンのような瓶だ。

ミニボンは薬屋で、「マイハズバンド・ドリンク・ドリンク・オエー・オエー。」という言葉を、飲んだり吐いたりしているジェスチャー交じりで繰り返すと、薬屋のオッチャンがこれを出してくれたそうである。

そして、そこは流石ミニボンである。
凡のことを知っている。
凡はこんな怪しいドリンクや薬が大好きなのである。

だからもっと欲しいだろうというので「モア・スリー。」と言ってくれたのだけれど、薬屋のオッチャンは「ノー・ノー。ワンデイ・ワンドリンク。」と言って売ってくれなかったというのだ。

薬屋のオッチャンが売ってくれないほど効くのだろうか。
凡は嬉しくなってその錠剤とドリンクを飲んだ。

ドリンク剤はこれといった味はなく、僅かに炭酸が利いた感じの飲み物だ。

飲んで5分ぐらいだろうか。急に楽になってきたのである。

勿論今は2時過ぎだ。もうそろそろ二日酔いが治ってきてもいい時刻ではあるかもしれない。
とはいうものの、つい今までは顔を上げる事も出来ないぐらい吐き気で苦しんでいたのだ。

それが、今は急に気分が良くなってきたのである。

ミニボンも凡を見て叫んだ。
「あっ、背中伸びてきた。伸びた伸びた伸びてきた。今まで背中丸なってたのに、今は背中伸びたよ。」

これはすごい。
やっぱりソウルの二日酔いの薬は只者ではないぞ。
こんな急に好転するとは。

こうなると、この薬をもっと欲しい。
さっきの薬屋はもう売ってくれないだろう。
この薬を何としても日本に持って帰りたい。
それでもって日本での二日酔いに備えたいのだ。

そんな凡の気持ちを察してか、「他の薬局も探して来よか。」
凡は素直にお願いした。

しばらくすると、ミニボンがビニール袋に入ったドリンクを持って帰ってきた。

聞くと同じドリンク剤はどこにも売ってなかったそうである。
しかし、ドリンク剤の空瓶を見せると、これは無いけど、これならあるよというドリンク剤を集めて来てくれたのである。
ありがとう、ミニボン。

そんなことをしている間にもうホテルに戻ってバスに乗らなきゃいけない時間だ。
気分が良くなったので、もう歩くのも苦にならない。

帰り路、やっぱり気になるので薬局を見つけてはさっきのドリンク剤を見せるが、やっぱり同じものはなかった。

タクシーに乗る前にもう1本飲んでみると、そっちはやっぱり少し炭酸が利いていてミント系の味がした。

考えてみると今日は二日酔いで正解だったのかもしれない。
ソウルでこんなドリンク剤に出会うとは。

少し得をした気分でホテルに戻った。
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コメント
ごめんなさい。
(ぺこり)

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