散散歩歩。(21)小躍り。

道を歩いていると、大きな壷がある。
あなたはその壷の中を覗いて見ますか。

そんな心理テストがあったのですが、凡は100%覗いてしまう。
どうも、凡は性格が卑しいようです。

学生時代の専攻は社会学だったのですが、その時の先生が「社会学者はピーピングトムでなきゃだめ。」というような話をされたことがある。

つまり、人の生活の中に入っていって、覗き見るように観察することが必要だということです。
その点においては、凡も社会学者の素質があるのかもしれません。

先日、大阪の地下鉄の御堂筋線に乗っていると、ケータイでメールを打つ30歳代の女性がドアの前に立っていました。
凡はその隣に立っていたのです。

こんな時に、何気なく、何気なくですよ、隣のケータイのメールの文字を読んでしまうのはいけないことでしょうか。
凡は見てしまう。

女性は、多分少し気になる男性がいるらしく、その男性からのメールに返事を打とうとしているようなのです。

「今日はどうしても都合が悪く、、、。」とか。
「前からの予定で、、、。」とか。

書いては消して、書いては消して、もう凡が見ている間にも、7、8回は書いては消してを繰り返している。
よっぽど大切な男性に違いありません。

それも、こんなに真剣に返事を書いているということは、まだ付き合ってはいないでしょう。
これから付き合おうというメールか、初めてのお誘いであることは他人の凡でも想像できます。

それにしても、凡には気になることがありました。

それは、書いては消してを繰り返しているのですが、一番初めに書かれた一文はずっと残してあるのです。

その一文とは、「お誘い頂いて、小躍りするぐらい嬉しいです。」というものです。

凡はその「小躍りするぐらい」というフレーズに思わず口元が緩みました。
それと同時に、何だかこの女性を応援したくなったのであります。

「小躍りするぐらい」なんて、今まで使ったことがありません。

更に、想像が広がっていきます。
小躍りって、、、。

阿波踊り。(エライコッチャ、イライコッチャ、ヨイヨイヨイヨイ)
盆踊り。(エンヤコラセーエ、ドッコイセ)
まさか、フラメンコ。(バラの花をくわえて、オーレ!)

凡はその女性が踊りを踊っているところを想像して、混雑している地下鉄の中で思わず噴出しそうになりました。

それでも、彼女は真剣です。

それにしても、このメールを受け取る男性は幸せですよね。
こんな気持ちで返信されたら、誰だって余計に好きになってしまうだろう。

でも、もし凡と同じ感覚の男性だったら、この「小躍りするぐらい」に笑ってしまうに違いありません。

このメールの続きがすごく気になったのでありますが、残念ながら凡は淀屋橋の駅でおりなきゃいけません。

凡が降りる時には、ついにメールは完成しませんでした。
でも、「小躍り」のフレーズはそのままだった。

彼女に幸あれ。
凡にも小躍りするような、メールが来ないかな。

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ごめんなさい。
(ぺこり)

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