散散歩歩。(475)左手の薬指は大切?

京阪電車でドアに近いところで吊り革につかまっていると、左前に座った女性が目に留まった。
ロックバンドをやっていそうな若い女の子である。

可愛い。
まあ、それはいい。

というか、若い女の子と書いた後に、この「可愛い。」の件を付けたくなるのは、どうしたものか。

ロックバンドをやっていそうなというのは、やや派手な服装に耳や口許にピアスをしていたからだ。
凡には、そんな女の子を表す言葉として、ロックという言葉ぐらいしか思いつかなかった。

それにしても、ピアスをする、つまりは身体に穴をあけるという行為は凡には理解ができない。

イヤリングをするために、みみたぶに穴を開けるということは、それぐらいは女性のファッションの貪欲さを考えると、そうしたいんだろうなとは思う。

でも、病院で2月に1度やっている尿酸値やコレステロールの検査の採血でさえ、怖くて屁っ放り腰になってしまう凡には、ファッションで身体に穴を開けるなんてことは考えられない。

それなのに、目の前の女の子は、耳にはみみたぶだけじゃなくて、耳の横っかわにも3つぐらいピアスをしている。
それに、口の横にも大きなピアスがある。

何故に痛い思いをしてまでも、身体に穴を開けるんだろうね。

女の子が、自分を他人に綺麗に思ってもらいたという自己表現なのだろうか。
それほどまでに女の子の綺麗に見られることへの執着は強いのだろうか。
世間の女性を見ていると、その執着は大いにうなずけるのではありますが。

ただ、この他人から見て綺麗ということの基準でいうなら、ピアスは少しばかりマイナーな存在だ。
誰しも、少なからず奇異な目で見てしまうだろう。

でも、女の子にとっては、これが綺麗というものである筈なのだ。
そして、その綺麗は凡は真実だと思う。

少なくとも本人には綺麗だと感じるのであって、そしてその波動にマッチングしている人たちから見ると、やっぱり綺麗だと感じてもらえるものなのである。
ただ、マッチングする人が少ないと言うだけの理屈だ。

とはいうものの、このピアスがファッションの為という理由だけではないのかもしれないとも思う。

自分の身体に穴を開ける。
これ自体を見ると人体の改造と見ることも出来るし、それは自傷行為であると説明することもできるのだ。

自傷行為とみると、この女の子も何らかのストレスを抱えていて、それを自己の中で解消あるいは紛らわす為に、自分の身体に痛い思いをして穴を開けているのだろう。

だったら、凡と同じだ。
ストレスの発散をするために、酒を飲むのか、身体に穴を開けるのかだけの違いだ。

そう思うと、急に女の子が身近に感じられた。

何か抑えきれないものが自分の中にあって、それを表現する手段も思いつかず、どうしようもない時、自分の身体に痛みを伴う穴を開けてしまう。

その瞬間だけは、その精神的苦痛から逃れることが出来る。
そして、自分自身を自分自身で感じることが出来る。

始めは1個だったのが、いつか気が付くといくつもの穴を開けている。
そんな感じなのだろうか。

1年ぐらい前の事だっただろうか、凡は老舗の和菓子のお店の販売員が、そのお店の近くの道を歩いている時に、妙な行為をしながら歩いているところを目にしたことがある。

泣き出しそうにも見える顔で、左手の手首を右手の人差し指で何度も切るような仕草をしていたのです。
それはカッターでリストカットをしている行為のマネであることは、すぐに解った。

少しばかり心配になって、声を掛けようかと思ったが、出来なかった。
マネだけだものね。

その和菓子屋の女の子もまた何かの抑圧された感情を、毎日蓄積しながら、それでも我慢してやっているんだよね。
それも凡と同じだ。

ピアスの女の子も、出来ることなら抱きしめてあげたい。
そして、安心して凡においでと言ってあげたい。

とはいうものの、ピアスの女の子の自傷行為も、今考えた凡の勝手な想像でしかないのでありまして、勝手に女の子を抱きしめたら、それは変態である。

変態であることは本当なのかもしれないけれど、それじゃ犯罪だよね。

と、色々そしてグダグダ書いてきたのですが、今日書こうと思ったのは、こんな話じゃない。

その京阪電車の左前の女の子のピアスのことじゃない。
その女の子の指輪の事だ。

指を見ると、指輪をしている。
銀の少し太めの指輪で、模様が浮き彫りにしてある。

それも、親指以外の左右の全部の指に指輪をはめているのだ。

メリケンサック?
そんな感じだ。

いいなあ。
指輪もまた自分を表現しようとする気持ちの表れだ。
凡の想像したストレスなんて吹き飛ばしてしまうようなエネルギッシュな女性なのかもしれないね。

「ロックンロールだぜい!」なんて、元気のいい女の子だろうか。

それはそれで、抱きしめたくなる。
とはいうものの、さっきも言ったように、それじゃ変態だ。

しかし、さっき書いた全部の指に指輪をしているという言葉には、間違いが含まれている。

全部と言ったのですが、1本だけ指輪をしていない指があったのです。

左手の薬指。

それを見た時に、この女の子が急に愛しくなったのであります。

女の子にとって、左手の薬指は、ファッションを無視しても指輪をはめたくない指だったんだね。

それほど、重要な指なんだね。

結婚なんて考えてなさそうな女の子なのに、やっぱり結婚というのは人生で外せない大切なことなんだろうか。
結婚なんて束縛は捨ててしまえなんて叫びそうな女の子が求めているものは、束縛だったのか。

そう考えると、ピアスというのも身体を束縛する手段だったのだろうか。
束縛されたい女の子。

だったら、凡がその薬指に指輪をはめて、束縛してあげてもいい。
とはいうものの、それじゃまた変態だ。

今日は、どうも何度も変態になってしまう日のようであります。

そんなことを考えていると、淀屋橋に電車は着いて、凡は女の子と同じドアを下りて行った。

因みに、凡もミニボンも結婚指輪はしていない。

勿論、結婚したときは指輪をしてたが、いつの間にかしなくなった。

あれは、何となくつけていると違和感があって気になるんだ。
だから、気持ち悪いから外しちゃった。

ミニボンが指輪をしないのは、その理由は凡は知らない。

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